つらつらと うき世の中を思うには
まじらざるこそまさるなりけれ
見聞かでも いわでもかなわざるものを
うき世の中にまじるならいは
つれもなく いとわざるこそうかりけれ
定めなき世を夢と見ながら
何事も 見ればこそげにむつかしや
見ざるにまさることはあらじな
きけばこそ 望みもおこれはらもたて
聞かざるぞげにまさるなりけれ
こころには なにわのことを思うとも
人のあしきはいわざるぞよき
見ず聞かず いわざる三つのさるよりも
思わざるこそまさるなりけれ
第18代天台座主・慈恵大師良源が詠んだ世の中で暮らす上においての教え。
三猿の「見ざる、聞かざる、言わざる」は、良源の歌から生まれたものといわれる。
「七猿歌」は、日吉山王権現に願文を捧げたときに詠み込んだのだという。
比叡山の横川にある元三大師堂は、慈恵大師良源の住坊跡。
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