別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




okadoのブログは、『中世歴史めぐりyoritomo-japan』の別冊。
京都・奈良・平泉・鎌倉などの寺社・歴史・人物・伝説・文化・自然・花などの情報をお伝えします。


2010年12月2日木曜日

常盤と打越の散策

「常盤」には北条政村の別邸があって「常盤御所」と呼ばれていました。

「常盤」という地名はそこからきたものと考えられています。

「打越」は、笛田の小字で「笛田から山一つ越えた向こう」という意味があるそうです。有名な「常盤山文庫」が創設されたのが打越です。


梶原交番前の交差点
藤沢駅からバスで梶原口まで来ました。
この交差点は桔梗山への入口で、この周辺に「梶原口」というバス停があります。
よくわかりませんが・・・同じ名のバス停でも、
行き先によって設置されている場所が違うようです。

ここは、鎌倉の三大緑地の一つ「常盤山緑地」の入口の一つです。
本日は、ここからすぐのバス停で降車しましたので、
とりあえずご紹介させていただきます。
ここは上らず、わずかに写っている右の道を長谷方面へ進みます。

ここは変電所の裏。
この辺りには、御嶽神社があって石段のそばに五輪塔などが並んでいたそうです。
石段の上にやぐらがあって、その中に御嶽神社が祀られていたそうですが、
今は八雲神社に合祀されたそうです。
なんらかの面影があるかと歩いてみましたが・・・
何も見つかりませんでした。
ちなみに、御嶽神社が祀られていたやぐらは、
源義経の母「常盤御前」の墓という噂もあったようです。

常盤口の交差点
この辺りには、「常盤御前の硯水」という井戸があったようです。
今もあるのかもしれません。
また「常盤御前」が出てきましたが
「常盤」という地名と「常盤御前」が「ごちゃまぜ」になってしまったようです。
しかしながら、湧き出る水は名水で、
常盤亭の北条政村がよく使用したということです。
なんと、明治の頃には茶屋もあって、旅人の喉を潤していたといいます。
そして、この水を鎌倉の街で売っていた者もいたということです。

八雲神社前の交差点
ここを左に行けば八雲神社ですが・・・
先に打越を廻って、再び戻りたいと思います。

ここは大仏トンネルのちょっと手前です。
コンビニの手前にある「三貴園」という看板がわかるでしょうか。
これが、菅原通済という実業家が営んだ高級料亭です。

看板の案内のとおりに進みます・・・
そして、十字路を越えて奥の道を進みます。

料亭「三貴園」の跡
ここには、「常盤山文庫」もありました。
福島県から堂坂観音というお堂も移されたということですが・・・
他にもいろんな建物が移築されたようです。
しかし、現在は売りに出されています。
観音堂の本尊であった一観音という仏像は、かなり有名な仏像だったそうです。


子守神社
打越の鎮守です。






大仏切通(大仏坂)
火の見下のバス停から少し入ると、
鎌倉七口の一つ大仏切通です。しかし、現在は通行止めとなっています。

八雲神社の鳥居です。ここから、鎌倉方面に向かいます。




圓久寺
八雲神社のすぐ横に日蓮宗の圓久寺があります。
「コスモス寺」と呼ばれている寺で、
本堂前や墓地にたくさんのコスモスが咲きます。
この辺りは北条政村の常盤亭の入口だったことから、
「殿入」という地名があったそうです。
夏のサルスベリも見逃せない寺です。

圓久寺からは、大通りを避けて平行する古道を歩いてみました。
こういう景色でないと鎌倉を歩いている気がしません。

そして、「住友常盤住宅」の坂を上がってみます。
(めったに車も通らない住宅街です。静に歩きましょう。)
少し前まで、ここから大仏切通に行けました。
今は崖崩れ等の危険のため通行止めです。


さらに坂を上がっていくと「一向堂通り」という標識があります。

その通りにあるのが一向堂公園

この辺りには「一向堂」という庵がありました。
浄土真宗の開祖親鸞の孫唯善という人物の庵で、
唯善は、1309年(延慶2年)、
大谷本廟の親鸞の像と遺骨を持ち出して常盤に住んだということです。
親鸞の像は「常盤の真影」と呼ばれ、浄土真宗が広まったそうです。
かつて、鎌倉には浄土真宗の寺が多くありましたが、
戦国時代に北条氏の弾圧を受けたため、
ほとんどの寺が鎌倉の外へ移転したそうです。
現在でも成福寺が唯一の浄土真宗の寺となっています。
(参考:浄土真宗は「一向宗」とも呼ばれています。)

一向堂公園の隅には、このような道があります。
ここから長谷に抜けることができます。
葛原ヶ岡・大仏ハイキングコースの出入口の山道に合流しています。

一向堂公園から住友常盤住宅の山を下っていくと、
北条氏常盤亭の北条政村別邸跡(タチンダイ)の入口です。
市役所通りに建てられた標識によるとこのような位置です。

北条氏常盤亭跡
この奥が北条政村の別邸があった場所といわれています。
「タチンダイ」というのは館のあった台地という意味のようです。
「館の台」がなまったものではないかといわれています。
約11万平方メートルが国の指定史跡です。

常盤亭跡から鎌倉駅方面へと向かう隧道です。
隧道を抜けると長谷大谷戸の交差点です。
交差点を左に入ると葛原ヶ岡・大仏ハイキングコースに入れます。
右の道を行くと高徳院(鎌倉大仏)です。


 鎌倉手帳