「今日南庭渡栽櫻樹、殊絕美花也、號鎌倉云々」
南庭とは、御所紫宸殿の庭。
紫宸殿南庭には、東に桜、西に橘が植えられ、左近の桜・右近の橘と呼ばれています。
『園太暦』に記録されている「鎌倉桜」は左近の桜として植えられたようです。
「鎌倉桜」とは何か?
鎌倉原産の桜「桐ヶ谷」(きりがや)のようです。
そして、桐ヶ谷を鎌倉から京都へ持って行って御所に植えたのは足利尊氏なのだとか・・・
御所に植えられた桐ヶ谷は、仁和寺辺りにも植えられたのだといいます。
仁和寺の御室桜は知られていますが、主要品種の御室有明の他にも御衣黄、桐ヶ谷、普賢象などの桜も植えられているようです。
桐ヶ谷は、御車返し(みくるまかえし)とも呼ばれますが、江戸時代に後水尾天皇が八重なのか一重なのかを確かめるために御車を返したことから、そう呼ばれるようになったのだといいます。
通常、桜の花びらは5枚ですが、桐ヶ谷は5枚から8枚ほどの花が混生しています。
そのため、八重一重咲分け桜とも呼ばれます。
(写真は大船フラワーセンター)
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京都に桐ヶ谷が植えられた頃、「普賢象」(ふげんぞう)という桜も京都に持ち込まれたようです。
普賢象も鎌倉原産の桜といわれています。
伝説によると・・・
1408年(応永15年)の春、足利義満は後小松天皇を北山殿に招きます。
その時、後小松天皇から引接寺(千本ゑんま堂)の桜を薦められた義満は、境内に咲き誇る普賢象を観て感嘆したのだといいます。
普賢象は八重桜。
八重桜では日本最古の品種といわれています。
(写真は大船フラワーセンター)
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