「ごぼう」、「大根」、「里いも」などを胡麻油で炒めて「だし汁」を加え、「醤油」や「味噌」で味付けした精進料理を「けんちん汁」といいます。
この「けんちん汁」という名は、建長寺の開山に招かれた蘭渓道隆が、野菜の皮やヘタを無駄にしないようにと発案した「建長汁」が訛って呼ばれるようになったのだといわれています。
豆腐を崩して入れるのは・・・?
実は・・・
「誤って落として崩れてしまった豆腐」をそのまま入れたのがきっかけなのだそうです。
建長寺は日本初の禅専門道場。 |
建長寺は、今も昔もそうですが、全国からの修行僧が集まる場です。
建長寺での厳しい修行を終えた僧が故郷へ帰り、あるいは新たな地へと赴き、建長寺の精進料理を伝えていったのかもしれません。
「けんちん汁」には、味噌仕立てのものと醤油仕立てのものがあるようです。
建長寺のけんちん汁は醤油仕立て。
本来、だし汁は、鰹節や煮干しから取るのではなく、昆布や椎茸から取るのだそうです。
※精進料理は「不殺生戒」という仏教の戒律に基づいた肉や魚を使用しない料理。
托鉢に向かう僧侶 |
源頼朝が流されていた伊豆の国市にも「けんちん汁」があります。
臨済宗円覚寺派の古刹国清寺に伝えられた味噌仕立てのもので「国清汁」と呼ばれているようです。
やはり、建長寺の「建長汁」がもとになっているそうです。
国清寺 |
参考までに・・・
漬け物の「たくあん」は、江戸時代、建長寺の復興に尽力した沢庵宗彭(たくあんそうほう)が発案したものなのだそうです。