別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




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2012年2月20日月曜日

けんちん汁~建長寺の精進料理~

 けんちん汁


「ごぼう」、「大根」、「里いも」などを胡麻油で炒めて「だし汁」を加え、「醤油」や「味噌」で味付けした精進料理を「けんちん汁」といいます。

この「けんちん汁」という名は、建長寺の開山に招かれた蘭渓道隆が、野菜の皮やヘタを無駄にしないようにと発案した「建長汁」が訛って呼ばれるようになったのだといわれています。

豆腐を崩して入れるのは・・・?

実は・・・

「誤って落として崩れてしまった豆腐」をそのまま入れたのがきっかけなのだそうです。


建長寺は日本初の禅専門道場。


建長寺は、今も昔もそうですが、全国からの修行僧が集まる場です。

建長寺での厳しい修行を終えた僧が故郷へ帰り、あるいは新たな地へと赴き、建長寺の精進料理を伝えていったのかもしれません。


 けんちん汁



「けんちん汁」には、味噌仕立てのものと醤油仕立てのものがあるようです。

建長寺のけんちん汁は醤油仕立て。

本来、だし汁は、鰹節や煮干しから取るのではなく、昆布や椎茸から取るのだそうです。

※精進料理は「不殺生戒」という仏教の戒律に基づいた肉や魚を使用しない料理。


托鉢に向かう僧侶


源頼朝が流されていた伊豆の国市にも「けんちん汁」があります。

臨済宗円覚寺派の古刹国清寺に伝えられた味噌仕立てのもので「国清汁」と呼ばれているようです。

やはり、建長寺の「建長汁」がもとになっているそうです。


国清寺


参考までに・・・

漬け物の「たくあん」は、江戸時代、建長寺の復興に尽力した沢庵宗彭(たくあんそうほう)が発案したものなのだそうです。


 建長寺


 鎌倉手帳