昔は、「うそをつくと閻魔様に舌を抜かれる」と教えられたものです。
恐ろしいイメージがあります。
圓應寺の本尊はその閻魔大王像です。
鎌倉時代のもので運慶作ともいわれています。
伝説によると・・・
年老いた運慶は重病となり仮死状態になりました。
三途の川を渡った運慶は、
初七日の秦広王の裁判
14日目の初江王の裁判
21日目の宋帝王の裁判
28日目の五官王の裁判
を経て
35日目の閻魔大王の裁判を迎えました。
閻魔大王の裁判では、生前の行いによって天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄の六道のうち、どこに生まれ変われるかが決定されます。
閻魔大王は運慶にこう言いました。
お前が娑婆でやさしい面相の仏像ばかり作るから、亡者が地獄にやってきても腰抜けばかりでろくな奴がおらん。
もっと娑婆で悪人ばらを改心させてわしに手数をかけないようにしてもらいたい。
お前をもう一度娑婆に帰してやるから、わしの姿に生き写しの閻魔王像を刻んで人間たちによく見せろ。
そうすれば、悪人が改心して人間社会が良くなるはずじゃ。
わかったらさっさと帰れ。
こうして娑婆に帰った運慶が彫ったのが、圓應寺の閻魔大王像だといいます。
生き返ることができて嬉しかった運慶は、この像を笑いながら彫ったので、像もどことなく笑っているように見えることから、「笑い閻魔」と呼ばれてきました。
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圓應寺には、閻魔大王像をはじめとする十王像や奪衣婆像などが安置されています。
かつては、巨福呂坂を越える人が多く立ち寄る寺だったそうです。
鎌倉には数多くの寺がありますが、これだけの仏像を間近に見ることのできる寺は珍しいかもしれません。
1月16日と8月16日は縁日です。
圓應寺の閻魔大王は「子育て閻魔」とも呼ばれ、子の無事成長を祈願する参拝者も多くいます。