別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




okadoのブログは、『中世歴史めぐりyoritomo-japan』の別冊。
京都・奈良・平泉・鎌倉などの寺社・歴史・人物・伝説・文化・自然・花などの情報をお伝えします。


2024年10月5日土曜日

敦成親王の呪詛事件と敦康親王を東宮にしたかった藤原伊周


1008年(寛弘2年)9月11日、藤原道長の長女・彰子一条天皇の第二皇子・敦成親王を出産しますが・・・

翌1009年(寛弘3年)正月、一条院内裏で祈祷の際に用いられる道具が発見され、藤原伊周らが道長・彰子・敦成親王を呪詛していたのではないかという噂が流れます。

彰子が敦成親王を生んだことで、妹の定子が生んだ敦康親王が東宮(皇太子)になることの望みが薄くなっていたため、伊周が疑われたようです。

加持祈祷の呪詛をした僧・円能が捕えられ、厳しい拷問が行われた結果・・・

依頼したのは、伊周の叔母・高階光子と伊周の家人・源方理らと判明。

二人は官位を剝奪され、伊周は公務を停止されてしまいます。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


~伊周の望み~

呪詛事件の前年12月、敦成親王の「百日の儀」が催されました。

伊周は公卿が詠んだ和歌の序題を書こうとしていた藤原行成の筆を取り上げ、自作の和歌序を書いたのだとか。


その内容は

「第二皇子百日ノ嘉辰禁省ニ合宴ス」

敦成親王の百日の宴を宮中で盃を交わすというものだが、わざわざ敦成親王を第二皇子であることを強調。

つまり、第一皇子は伊周の妹・定子が生んだ敦康親王であるということ。


さらに、

「隆周之昭王穆王ハ暦数長シ。我ガ君又暦数長シ。我ガ君又胤子多シ」

と続け、「隆周」(道隆伊周父子)の繁栄は長いこと

そして、一条天皇の在位も長く、敦成親王以外にもたくさんの嗣子がいること

を訴えます。


最後に、

「康イ哉帝道。誰カ歓娯セ不ラン」

と書き、帝の治める道は安康であるとしたが、「康」は敦康親王の「康」を意味していたのだとか・・・


この場をわきまえない伊周の挙動は人々から非難されることになったのだといいます。



☆ ☆ ☆ ☆ ☆


~伊周の死~


公務を停止された伊周は6月に許されますが、1010年(寛弘7年)正月28日死去(37歳)。

『栄花物語』によると死因は飲水病(糖尿病)だったようですが、気力も体力も限界だったのかもしれません。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


~一条天皇崩御~


1011年(寛弘8年)6月13日、病が重くなった一条天皇は居貞親王(三条天皇)に譲位、6月22日に崩御しました。

一条天皇は、敦康親王を東宮(皇太子)にと望んでいましたが、藤原行成に説得されて敦成親王を皇太子にすることとしたのだといわれています。




藤原道長

藤原彰子


一条天皇









☆ ☆ ☆ ☆ ☆


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2024年10月4日金曜日

鎌倉国宝館の特集展示「鎌倉の伝運慶仏」




10月19日から鎌倉国宝館の特別展「鎌倉旧国宝展」が始まります。

「鎌倉の伝運慶仏」も特集展示されます。


【鎌倉旧国宝展】
総展示数:30件

円覚寺の被帽地蔵菩薩像(重要文化財)、明月院上杉重房坐像(重要文化財)など。


特集展示【鎌倉の伝運慶仏】
総展示数:6件

教恩寺阿弥陀如来及び両脇侍立像(県指定文化財)など。 



開催期間
10月19日(土)~12月1日(日)

開館時間
9時00分~16時30分
(入館は16時00分まで)

休館日
11月4日を除く月曜日
11月5日(火曜日)

観覧料
一般:700円
小・中学生:300円


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


運慶作とされる仏像は数多く存在しますが、真作とされているものは20体に満たない数。

残念ながら、鎌倉には運慶の真作とされる仏像は存在していません。

ただ、教恩寺阿弥陀三尊像は、一ノ谷の戦いで捕らえられ、鎌倉に送られてきた平重衡源頼朝から与えられたと伝えられているもの。

もしかしたら運慶作なのかもしれません。

『新編相模国風土記稿』では、運慶作と紹介されています。

今回の特集展示では、修理後初公開となるようです。


鎌倉で運慶作と伝えられているのは教恩寺の阿弥陀三尊像のほかに・・・

光触寺阿弥陀如来像

杉本寺の十一面観音像、地蔵菩薩像、仁王像

延命寺地蔵菩薩像

補陀洛寺の日光・月光菩薩像

来迎寺の阿弥陀三尊像

英勝寺阿弥陀三尊像

圓應寺閻魔大王像

など。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


~浄楽寺の運慶の真作~


木造阿弥陀三尊像

木造不動明王・毘沙門天立像


横須賀の浄楽寺の「木造阿弥陀如来及両脇侍像」、「木造不動明王・毘沙門天立像」は、胎内の銘札から和田義盛の発願で運慶が造立したものと判明しています。

浄楽寺の運慶仏は、3月3日と10月19日に特別開帳されていますが・・・

2024年10月は、安置されている収蔵庫が改修工事のため拝観できません。

ただ、10月26日から始まる横須賀美術館の運慶展で展示されます。



運慶展


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


(辻の薬師堂)

鎌倉国宝館には、辻の薬師堂の十二神将が常設展示されています。

そのうちの戌神像は、北条義時の大倉薬師堂(現覚園寺)の戌神像(運慶作)の模刻と考えられています。





運慶


2024年11月29日から
運慶~女人の作善と鎌倉幕府~


2025年9月9日から
運慶 祈りの空間


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2024円覚寺開山忌~4年に一度の閏年の開山忌~




10月3日は円覚寺開山忌



一山の僧侶が開山・無学祖元の塔所正続院舎利殿に集まり、法会が行われます。

舎利殿での法会が終わると仏殿に移動。




仏殿でも法要が営まれます。




今年は4年に一度の閏年。

閏年の開山忌では無学祖元の木像が輿に乗せられ境内を巡堂します。









円覚寺開山忌


円覚寺


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


八代執権北条時宗


鎌倉五山

円覚寺舎利殿

鎌倉三名鐘

円覚寺の洪鐘


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2024年10月3日木曜日

横須賀美術館の運慶展~浄楽寺の運慶仏ほか~




和田義盛の発願によって造立された浄楽寺の阿弥陀三尊像と不動明王・毘沙門天立像

三浦氏三代(為通・為継・義継)の菩提寺・清雲寺の滝見観音像

和田義盛の身代わりとなったといわれる天養院の薬師如来像

が展示されます。


会期
2024年10月26日(土)~12月22日(日)

開館時間
10:00~18:00

休館日
11月5日(火)、12月2日(月)

観覧料
一般 1,000円
高校生・大学生・65歳以上 800円
中学生以下 無料
※11月3日は無料観覧




(横須賀市芦名)

浄楽寺は、源頼朝とともに鎌倉に武家政権を樹立させた和田義盛が建立した寺。

「木造阿弥陀如来及両脇侍像」、「木造不動明王・毘沙門天立像」は、胎内の銘札から和田義盛の発願で運慶が造立したものと判明しています。

浄楽寺では3月3日と10月19日に運慶仏の特別開帳が行われていますが、2025年3月まで安置されている収蔵庫が改修工事のため拝観できません。

2024年秋は、横須賀美術館の運慶展で拝観ください。



(横須賀市大矢部)

清雲寺は三浦義継が父為継の供養のため建立した寺。

滝見観音像は、宋(中国)から渡ってきたものと伝えられています。



(三浦市初声)

天養院の薬師如来は、和田義盛が館の鬼門守護のために建てた安楽寺の本尊でした。











運慶


2024年10月19日から
鎌倉の伝運慶仏


2024年11月29日から
運慶~女人の作善と鎌倉幕府~


2025年9月9日から
運慶 祈りの空間



運慶の諸仏公開


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2024年10月2日水曜日

円覚寺開山の無学祖元と鶴岡八幡宮の神


仏光国師(無学祖元)坐像


円覚寺を開いた無学祖元は宋から渡来した禅僧。

来日する前のある日こと。

いつものように坐禅を組んでいると、金色の龍と青い鳩を連れ、頭には冠をつけ笏を持った神のような人が現れ、日本に来て仏法を広めてほしいと頼んだのだといいます。

その後、祖元は北条時宗の招きで来日。

参拝した鶴岡八幡宮の楼門の梁にたくさんの鳩がいるのを見た祖元は、あの時の神が鶴岡八幡宮の神だったことをと悟ったのだそうです。

そして、円覚寺の開山塔正続院には、祖元が来日する際に、舟を守護していた龍が宿したという「宿竜池」と呼ばれる池があったのだとか。

このような伝説から「木造仏光国師坐像」の椅子には龍と鳩の彫刻があるのだと伝えられています。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆



鳩は八幡神の使い。

鶴岡八幡宮楼門の掲額の八の字は、鳩で描かれています。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆



円覚寺国宝梵鐘(洪鐘)は、無学祖元が来日する際に、舟を守護していた竜が宿したという宿竜池の底から金銅を得て鋳造されたのだと伝えられています。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆



無学祖元が中国の宋から日本に来たときに、白鷺となった鶴岡八幡宮の神霊に導かれたのが総門前の白鷺池だったと伝えられています。




円覚寺開山忌


円覚寺


鶴岡八幡宮









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八代執権北条時宗


鎌倉五山

円覚寺舎利殿

鎌倉三名鐘

円覚寺の洪鐘


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