本日(平成25年5月1日)、文化庁は、
「武家の古都・鎌倉」については、ICOMOS(イコモス:国際記念物遺跡会議)からの勧告通知が「
不記載が適当」であったことを発表しました。
つまり、
「不登録の勧告」ということです。
勧告は、以下の四段階の評価で通知されるようです。
記 載 | ユネスコの世界文化遺産登録がほぼ確実。世界遺産一覧表に記載される。 |
情報照会 | 追加情報が求められ、次回(翌年)以降、登録について再審議される。 |
記載延期 | より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの。推薦署を再提出して、再びイコモスの審査を受ける。 |
不記載 | 記載にふさわしくないもの(世界遺産委員会で不記載決議となった場合、例外的な場合を除き再推薦は不可。)。 |
世界遺産一覧表への評価基準
以下の基準(の一以上)を満たすとき、当該資産が顕著な普遍的価値(を有するものとみなす。 |
ⅱ) | 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。 |
ⅲ) | 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。 |
ⅳ) | 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、或いは景観を代表する顕著な見本である。 |
ⅴ) | あるひとつの文化(又は複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である。(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの) |
ⅵ) | 顕著な普遍的意義を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。 |
ⅶ) | 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。 |
ⅷ) | 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。 |
ⅸ) | 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群衆の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。 |
ⅹ) | 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。 |
顕著な普遍的価値を有するとみなされるには、当該資産が完全性及び/又は真実性の条件についても満たしている必要がある。又、確実に保護を担保する適切な保護管理体制がなければならない。 |
「普遍的」とは・・・広辞苑によれば「ある範囲におけるすべてのものにあてはまるさま」
世界文化遺産の場合、これに
「顕著な」と付け加えられています。
顕著な普遍的価値とは・・・
国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び/又は自然的な価値を意味する。 |
ICOMOSの勧告の概要では、
「武家の古都・鎌倉」の場合、「顕著な普遍的価値に対する物証に乏しい」という内容だったようです。
まだ、ICOMOSの勧告の段階ですので、世界遺産委員会の本審議の結果がどうなるのかわかりませんが・・・。
※
「武家の古都・鎌倉」とともに世界文化遺産の推薦対象となっていた
「富士山」は、その登録がほぼ確実となっています。