別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




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2025年9月28日日曜日

興福寺・願成就院・浄楽寺の運慶仏 ~毘沙門天と多聞天~


毘沙門天像と多聞天像は仏法の守護神。

単独で置かれる場合は「毘沙門天」、四天王の一尊として置かれる場合は「多聞天」と呼ばれています。




中央が奈良興福寺中金堂の多聞天。

右が伊豆の国市願成就院の毘沙門天。

左が横須賀浄楽寺の毘沙門天。

いずれも運慶の造立で、宝塔と三叉戟(さんさげき)を持ち、甲冑に身を固めています。

願成就院と浄楽寺の毘沙門天は同時期(30代の頃)のもの。

武将のような顔つきで似ているような感じですが・・・

興福寺の多聞天は晩年のもので、空気感が違うように感じます。

やはり、南都復興の祈りが込められているからでしょうか?




願成就院は、北条時政が伊豆に建てた寺。

阿弥陀如来坐像・不動明王と二童子像(矜羯羅童子・制咤迦童子)・毘沙門天像は、1186年(文治2年)に運慶が造立したもの。

願成就院の拝観は、火曜日と水曜日がお休み(祭日の場合は開館)。

拝観時間は10:00~16:00
(最終受付15:30)




浄楽寺は、和田義盛が横須賀に建てた寺。

阿弥陀如来及両脇侍像・不動明王像・毘沙門天像は、1189年(文治5年)に運慶が造立したもの。

2025年9月から運慶仏が常時拝観できるようになりました。

拝観時間は
9:00~12:00
13:00~16:00
(最終受付15:30)




興福寺中金堂の四天王像は、もとは北円堂にあったもので、1212年(建暦2年)に運慶が造立したものと考えられています。

1180年(治承4年)の平重衡の南都焼討で焼失した北円堂は、1210年(承元4年)頃に再建されました。

南都焼討後の復興造仏を任せれたのが運慶でした。


11月30日まで東京国立博物館で「運慶 祈りの空間 - 興福寺北円堂」が開催されています。

中金堂の多聞天も展示されています。

東京に奈良の運慶仏があるうちに、願成就院と浄楽寺の運慶仏も拝観すれば、より運慶を感じることができるかも。



運慶


願成就院の運慶仏

浄楽寺の運慶仏

運慶 祈りの空間









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興福寺

興福寺北円堂


浄楽寺

願成就院


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