蘇民将来子孫家也急々如律令
北条泰時・北条時頼の邸跡から出土したという木札。
蘇民将来(そみんしょうらい)とは、旅中に宿泊する所がない須佐之男命(すさのおのみこと)を泊め、須佐之男命から茅の輪を賜り、疫病が流行った時にその茅の輪のおかげで助けられたという神話の中の人物。
京都の八坂神社の祭礼「祇園祭」で授与される「ちまき」には、「蘇民将来子孫也」という護符が貼られています。
これには、「私は蘇民将来の子孫です。病気や災いから護って下さい」という意味があるのだとか・・・。
北条氏邸跡で発見された木札は、屋敷の入り口の柱か塀に打ち付けられていたものと考えられています。
「急々如律令」は「律令のごとくすぐに実行せよ」という意味で、陰陽師などが疫病退散の呪文として用いたようです。
「ここは蘇民将来の子孫の家。悪魔は速やかに去れ!」という意味になるのでしょうか・・・
『吾妻鏡』によると・・・
1231年(寛喜3年)4月、ある僧に京都の祇園社(八坂神社)からお告げがありました。
僧は夢の中の言葉を呪符として、洛中で配ったのだといいます。
九条道家は、その「□□□急々如律令」等と書かれた呪符を四代将軍九条頼経に送ってきたそうです。
そして、人毎に銭五文か三文を割り当てて般若心経を読誦し、南東の方角で鬼気祭を修すれば、今年は流行病も餓死も防ぐことができる。
疫病は、5月から6月18日までに流行るので、この魔除けの札を掛けておくように。
と伝えてきたのだとか。
※道家は頼経の父。
毎年、7月に行われる京都の祇園祭は、須佐之男命を祭神とする八坂神社の祭礼。