常楽寺は、三代執権北条泰時が建てた粟船御堂を前身としています。
本尊の阿弥陀如来像、脇侍の観音菩薩像、勢至菩薩像の他、開山の蘭渓道隆像が安置されています。
天井の「雲龍図」は狩野雪信の筆。
仏殿に安置されている阿弥陀三尊像は、これまで南北朝時代の作と考えらていました。
しかし、最近の調査で、阿弥陀像の台座部分から「仁治3年(1242年)6月12日」の墨書が確認されました。
北条泰時が、この日付から3日後の15日に亡くなっていることから、死期を悟った泰時が、その直前に造らせた可能性が高いと考えられているようです。
また、その作風から慶派仏師の定慶の作ではないかと推測されているようです。
北条泰時は、「連署」や「評定衆」の設置、武家の法典である「御成敗式目」(貞永式目)の制定を行い、北条執権体制の基礎を固めた人物です。
和賀江嶋を築港や巨福呂坂、朝夷奈切通の造営にも力を注ぎました。
泰時は死後、常楽寺に葬られます。
参考までに、墨書の発見によって、阿弥陀三尊像は鎌倉市の文化財に指定されたそうです。