別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




okadoのブログは、『中世歴史めぐりyoritomo-japan』の別冊。
京都・奈良・平泉・鎌倉などの寺社・歴史・人物・伝説・文化・自然・花などの情報をお伝えします。


2025年11月17日月曜日

伊豆山にあった快慶の阿弥陀如来~熱海 伊豆山神社~


明治の神仏分離までの伊豆山には、上常行堂と下常行堂がありました。

上常行堂と下常行堂の本尊は木造阿弥陀如来坐像(宝冠阿弥陀)。


快慶の阿弥陀如来

下常行堂にあった阿弥陀如来は、運慶とともに東大寺金剛力士像を造立した快慶作の宝冠阿弥陀如来坐像。

現在は、大正・昭和期の実業家金本耕三(耕三寺耕三)に収集され、耕三が広島県尾道市に開いた耕三寺の所蔵。

運慶は北条時政和田義盛北条義時北条政子などに依頼により東国で多くの造仏に携わりましたが、快慶が東国の造仏に携わったという確証のあるものは、伊豆山の阿弥陀如来と栃木県足利市真教寺の阿弥陀如来のみ。


上常行堂の阿弥陀如来

上常行堂にあった阿弥陀如来は、神仏分離後、逢初地蔵堂に移されていましたが、現在は伊豆山神社境内にある伊豆山郷土資料館に収蔵されています。


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この仏像は、鎌倉の教恩寺阿弥陀如来像

運慶作と伝えられていますが、作風からすると快慶あるいはその周辺の仏師の作ではないかといわれています。



快慶の阿弥陀如来


伊豆山神社


伊豆山神社 新嘗祭


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あたみ桜


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2025年11月16日日曜日

住吉大社に神馬を奉納した源頼朝~2026年は午年~




住吉大社は、源頼朝ゆかりの社。

『吾妻鏡』によると、1195年(建久6年)、東大寺大仏殿落慶供養参列のため上洛していた頼朝は、住吉大社に梶原景時を代参させ、幣帛(布)を納め、神馬を奉納しています。

夕刻になって到着した景時は、和歌一首を釣殿の柱に貼ったのだといいます。

我君の
手向の駒を
引つれて
行末遠紀
志るしあらはせ


「頼朝様からの馬を連れてきましたので、行く末永く、御武運や御繁栄の験を現してください」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


古代から日本には、祈願のために神が騎乗する馬(神馬)を奉納する習わしがありました。

現在では、馬の像や絵馬で代用されたりしていますが、住吉大社では生きた馬が飼育されています。

住吉大社の神馬は代々白馬。

1月7日の「白馬神事」(あおうましんじ)は、宮中で行われていた「白馬節会」を伝承している神事。

「年初に白馬(青馬)を見れば年中の邪気が祓われる」

といわれています。




住吉大社


白馬節会

青馬「池月」


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2025年11月15日土曜日

運慶の子康運と孫康円の仏像~東京国立博物館 運慶祈りの空間~


東京国立博物館では「運慶 祈りの空間 興福寺北円堂」が開催されていますが、別室の東博コレクション展(平常展)では、運慶とともに東大寺金剛力士像を造立した快慶、運慶の子とされる肥後定慶、孫の康円の仏像も拝観できます。


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菩薩立像

東京国立博物館所蔵の菩薩立像は、肥後定慶の作とされています。

肥後定慶は、京都の鞍馬寺の聖観音像や大報恩寺(千本釈迦堂)の六観音を造立したことで知られていますが、

肥後定慶とは・・・

運慶の次男・康運のこととする説が有力。

京都栂尾の高山寺の縁起によると、康運は定慶に改名しているのだとか。

参考までに、鎌倉の明王院不動明王坐像は肥後定慶の作ともいわれています。


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愛染明王坐像

神護寺所蔵の愛染明王坐像(東京国立博物館寄託)は、康円の作とされています。

康円は運慶の孫で、康運の子ともいわれています。


参考までに・・・

愛染明王坐像
(五島美術館蔵)

この愛染明王は、鶴岡八幡宮に置かれていた運慶作と伝えられる愛染明王坐像


馬頭観音
(大報恩寺)

この馬頭観音は、肥後定慶(康運)が造立した大報恩寺(千本釈迦堂)の六観音の中の一つ。

運慶(親)-康運(子)-康円(孫)が表現した「忿怒」を見比べてみるのも面白いかも。


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運慶


運慶 祈りの空間


興福寺

興福寺北円堂


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2025年11月14日金曜日

白馬節会~年初めに白馬(青馬)を見ると邪気が祓われる!~




白馬節会(あおうまのせちえ)は、正月七日に行われていた天皇が白馬(あおうま・青馬)を観覧する儀式。

中国の故事に基づいたもので「年初めに白馬(青馬)を見ると、邪気が払われ、無病息災で過ごせる」という信仰からのもの。

もともとは青毛の馬を用いていたため「あおうまのせちえ」と読ませていますが・・・

平安中期以降は白馬が用いられたため「白馬」と書かれるようになったようです。


※白馬の画像は、以仁王を祀る高倉神社の神馬。


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~正月7日の神事として伝承~

京都の上賀茂神社では「白馬奏覧神事」(はくばそうらんしんじ)、大阪の住吉大社では「白馬神事」(あおうましんじ)として「白馬節会」を伝承しています。

茨城県の鹿島神宮の「白馬祭」(おうめさい)は、源頼朝の又甥にあたる四代将軍藤原頼経が宮中よりもたらした祭事と伝えられています。




白馬節会


青馬「池月」

馬頭観音



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2025年11月12日水曜日

白馬に乗った神が降臨!~箱根神社元宮~


馬降石

箱根神社元宮にある馬降石(ばこうせき)は、白馬に乗った神が降臨したという岩。

石の上の穴は馬が降りたときの蹄跡で、穴にたまる水は旱天にも枯れたことがないのだとか・・・




箱根神社元宮は、およそ2400年前の孝昭天皇の時代に、箱根最高峰の神山(駒ヶ岳)を御神体(神が降臨する所)として祀られた社。

のちに里宮が創建されますが、それが現在の箱根神社


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三嶋大社神馬は、毎朝、神を乗せて箱根山に登っていたのだとか・・・




箱根神社


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2025年11月11日火曜日

馬頭夫人の伝説~大和国長谷寺は遠い地から拝んでも御利益がある!~




馬頭夫人は、唐の皇帝・僖宗(きそう)の后の一人。

馬のように長い顔でしたが、性格が穏やかで思いやりがあったことから、皇帝の寵愛を一身に集めていました。

しかし、それを妬む他の后から容貌を悪く言われ悩んでもいました。

容姿端麗になりたいと願う夫人が祈願したのが大和国長谷寺観音さま

その霊験あって美しくなった夫人は、長谷寺にたくさんの宝物を贈ったのだとか。

宝物の中には牡丹の種も。

長谷寺の境内を飾る牡丹は、この故事によると言われています。


紫式部『源氏物語』には・・・

「仏の中で初瀬というお寺(長谷寺)は、日本の中では新たかな霊験を表すと、遠い唐の国でも噂になっている」

と描かれています。

遠く離れたところから拝んでも長谷寺観音菩薩の御利益はある!



大和国長谷寺


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大和郡山城


大和国の寺社勢力と豊臣秀長

大納言塚


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