その祖元が来日する前のある日こと。
いつものように坐禅を組んでいると、金色の龍と青い鳩を連れ、頭には冠をつけ笏を持った神のような人が現れました。
その人は「我の国に来て仏法を広めてほしい」と頼み、「そうなった時には我がそなたを守護する」と言ったのだといいます。
そんなことが何回かあったのですが、神のような人はどこの誰とも名乗ることはなかったそうです。
そのうち、祖元は北条時宗の招きで日本へ渡ることとなります。
鎌倉に来て間もなく、鶴岡八幡宮を参拝するよう勧められた祖元は、さっそく参ってみると楼門の梁にたくさんの鳩がいました。
その時、鳩が八幡神の使いだと知った祖元は、以前、自分の所に来た神のような人は鶴岡八幡宮の神だったと悟ります。
そして、円覚寺の開山塔正続院には、祖元が来日する際に、舟を守護していた龍が宿したという「宿竜池」と呼ばれる池があったのだとか。
このような伝説から円覚寺の開山堂に安置されている「木造仏光国師坐像」の椅子には龍と鳩の彫刻があるのだといいます。
※円覚寺の正続院は室町時代に建長寺から移されたので、宿竜池の伝説は建長寺だったのかもしれない。
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