『太平記』によると・・・
北条時政が鎌倉幕府の実権を握った頃、一尺ほどの小鬼が夜な夜な時政の枕元に来て害そうとすることがあった。
時政は病になってしまうが、ある夜の夢の中に、太刀が老人の姿に変えて現れた。
老人は
「我は汝を守護する者である。
彼の妖怪を退治しようと思うが、汚れた者に触れられて剣が錆びついて抜けない。
妖怪を退治しようと思うなら清浄な者に錆を拭い取らせよ」
と告げて太刀に戻ったのだという。
時政はお告げのとおり、水を浴びさせて身を清めた者に錆を拭わせ、鞘には納めず柱に立て掛けた。
冬の事だったので暖を取るため火鉢を取り寄せたが、火鉢の台を見ると銀の一尺ほどの小鬼鋳たものが。
目には水晶、歯には金がはめ込んである。
時政が夢に出てきた小鬼に似ていると思っていると、立て掛けておいた太刀が俄かに倒れ、小鬼の首を斬り落としてしまった。
以後、時政は小鬼の夢を見なくなり、太刀は鬼丸と名づけられ高時の代まで守護刀とされたのだとか。
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その後、鬼丸は・・・
北条時行・新田義貞・斯波高経・足利尊氏・織田信長・豊臣秀吉・徳川家康などの手を経て、現在は皇室の所蔵となっているらしい。
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