この兵法を使えば、日本の国は思いのまま操れるというものです。
その大日の法の巻物は、「千島」といわれる島の喜見城の都にあるといいます。
王の名は「かねひら王」といいました。
さっそく義経は、「大日の法の巻物」を手に入れるために島へ渡ります。
「千島」には・・・
牛頭・馬頭・阿防羅刹・夜叉鬼などの大勢の鬼達がいました。
義経は、鬼達を前に「たいとう丸」という名の笛を吹きます。
すると鬼達はその音色に感動して、かねひら大王へ奏聞します。
義経が大王の前で「たいとう丸」を吹くと、大王は大いに喜びました。
義経は「大日の法」の伝授を願い出ますが、大王は「大日の法」については口を開こうとしませんでした。
後日、酒宴の席が設けられました。
その席には大王の娘もいました。
「あさひ天女」といいます。
義経は、「たいとう丸」で天女に「想夫恋」という曲を吹きました。
これを聴いた天女は義経に心を寄せて、契りを結んだといいます。
鬼の前で笛を吹く義経 |
そして、義経は、それを三日三晩かけて書き写しますが、書写を終えると「大日の法の巻物」の文字が消えてなくなってしまったといいます。
天女は、「何か大事が起こる予兆にちがいありません」といって、義経を逃がすことにします。
巻物の文字が消えてしまったことを知った大王は、義経を追わせますが、義経は天女から教わった兵法で討手から逃げ切り、無事に帰ることができました。
しかし、天女は大王に殺されてしまいます。
義経に巻物を渡すあさひ天女 |
天女は江ノ島弁財天の化身だったといいます。
義経に兵法を伝えるため、鬼の娘として生まれたのだと・・・
ある夜、天女は義経の枕元に現れ、自分の死を告げます。
天女の死を知った義経は、丁重に菩提を弔いました。
その後義経は、「大日の法」を自在に操り、源氏の御代としたといいます。