別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




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2018年12月15日土曜日

山の音~甘縄神明神社~

ノーベル賞作家・川端康成が鎌倉に移り住んだのは1935年(昭和10年)。

長谷の甘縄神明神社前に住んだのは1946年(昭和21年)のこと。

『山の音』には、甘縄神明神社の様子も描かれています。


 甘縄神明神社


ふと信吾に山の音が聞こえた。

風はない。

月は満月に近く明るいが、しめっぽい夜気で、小山の上を描く木々の輪郭はぼやけている。

しかし風は動いていない。

信吾のいる廊下の下のしだの葉も動いていない。

鎌倉のいわゆる谷戸の奥で、波が聞こえる夜もあるから、信吾は海の音かと疑ったが、やはり山の音だった。

遠い風の音に似ているが、地鳴りとでもいう深い底力があった。

自分の頭のなかに聞こえるようでもあるので、信吾は耳鳴りかと思って、頭を振ってみた。

音は止んだ。

音が止んだ後で、信吾ははじめて恐怖におそわれた。

死期を告知されたのではないかと寒けがした。


社殿前から見える相模湾


 甘縄神明神社








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