別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




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2014年10月8日水曜日

川端康成・山の音

旧川端康成邸と川端康成記念会


川端康成の小説『山の音』は、鎌倉長谷の自邸を舞台として描かれたもの。


「ふと信吾に山の音が聞こえた。

風はない。月は満月に近く明るいが、しめっぽい夜気で、小山の上を描く木々の輪郭はぼやけている。しかし風に動いてはいない。

信吾のいる廊下の下のしだの葉も動いていない。

鎌倉のいわゆる谷(やと)の奥で、波が聞える夜もあるから、信吾は海の音かと疑ったが、やはり山の音だった。

遠い風の音に似ているが、地鳴りとでもいう深い底力があった。自分の頭のなかに聞えるようでもあるので、信吾は耳鳴りかと思って、頭を振ってみた。

音はやんだ。」


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