源十郎弥十郎事
(げんじゅうろうやじゅうろうのこと)
江戸時代の紀行文『金兼藁』に収録されている佐助稲荷の霊験譚です。
~狐を助けた源十朗~
昔、源十朗という魚商人がいました。
魚を荷なって由比ヶ浜を通り抜けようとすると、
犬が狐を追っかけて走ってきました。
狐は源十朗が荷なっていた籠の中に逃げ込みます。
哀れに思った源十朗は犬を追い払い狐を助けてあげました。
~夢のお告げ!~
その夜、夢の中に狐が現れます。
そして、
「今日は助かりました。助けてもらった恩に報いるために参りました。
源十朗殿 今の魚商人は止めて、佐助ヶ谷で大根を作れば、大きな富が得られます。」
と告げたといいます。
~源十朗 大根作りを始める。~
何とも信じ難いことでしたが、
源十朗は、狐の教えのとおり、
佐助ヶ谷に土地を借りて大根作りを始めます。
~鎌倉に流行った疫病と夢のお告げ。~
その冬、鎌倉に疫病が流行って、
死者が多く出ました。
身分の高い人も低い人も嘆いていると、
ある人の夢の中に神が現れて、
「源十朗の作った大根を買って食べれば病が治る」と告げたといいます。
~源十朗、大根が売れて大金持ちになる。~
このお告げが鎌倉中に広まります。
源十朗の大根を買った人の病も治ります。
大根も減って行くにしたがって高値になっていきました。
そして源十朗は大金持ちになったそうで。
~稲荷明神の社を建てる。~
狐の教えによって富を得た源十朗は、
稲荷明神の社を建てました。
それが現在の佐助稲荷神社だといいます。
佐助稲荷神社
https://www.yoritomo-japan.com/page137sasukeinari.htm
鎌倉手帳