別冊『中世歴史めぐりyoritomo-japan』




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2024年3月1日金曜日

中宮・藤原定子のための枕草子!清少納言の桜はいつも満開!


ヤマザクラ



清少納言は『枕草子』の「節は五月にしく月はなし」の段にこう書き記しています。

「さて、春ごとに咲くとて、桜をよろしう思ふ人やはある」

(毎年のことだからといって、春に咲く桜の花をどうでもいいと思う人がいるのだろうか。いや、そんな人はいませんね。)


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


清少納言にとって桜と仕えた中宮・藤原定子は特別なもの。

『枕草子』には満開の桜の描写はありますが、散る桜はないようです。

995年(長徳元年)、関白だった藤原道隆が薨去。

翌年には、道隆の嫡男・伊周長徳の変を起こして失脚。

娘の定子も苦境の日々を送りました。

『枕草子』は、定子のために書かれた随筆。

清少納言は、中関白家(道隆一族)の衰退を連想させる「散る桜」は描かず、常に満開の桜を描きました。


📎桜は中宮・藤原定子!~清少納言が描いた桜は、散らない桜!~




紫式部・源氏物語・光源氏ゆかりの地めぐり~光る君へ~









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道隆が定子のために設えた造花の桜~清少納言『枕草子』~


994年(正暦5年)2月21日、藤原道隆は積善寺で、一条天皇の生母・藤原詮子や中宮・藤原定子の隣席のもとで一切経供養を行いました。

この時、定子は参列のため内裏から二条宮に退出しますが、そこには満開の桜がありました。

清少納言は「まだ梅が盛りなのに・・・」と思いますが、よく見ると、造花の桜で道隆定子のために設えた桜でした。

しかし、夜中に雨が降ると見苦しい状態になってしまいます。

道隆定子に気づかれぬように桜を撤去。

ただ、清少納言には気づかれてしまい、悔しがったのだとか。

清少納言定子に「春風がやったことでしょう」と知らないふりをしたらしい・・・




法雲寺は、藤原兼家が別邸の二条第に建てた法興院の跡地に建立された寺院。

法興院境内には兼家の子・道隆が建立した積善寺もあった。




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六道の辻の幽霊子育飴~死後に水飴を買いに来た女~




昔、六道の辻に一件の飴屋があった。

ある夜のこと、表の戸をたたく音がするので主人が外へ声をかけると、かすかな声で「飴をいただきにまいりました」という返事があった。

主人がさっそく戸を開けると、髪を長く垂らし、肩を落とした一人の女が立っていた。

そして、主人が茶碗にもった水飴を渡すと、女は三文をおいて立ち去っていった。

明くる日、主人が銭箱を見ると、昨晩の女からもらった三文が木の葉三枚に変わっていたという。

その夜、昨晩の女が再び現れ、やはり水飴を買っていった。

女が置いていった三文はやはり木の葉の三文だった。


こういう日が五日も六日も続き、ついに主人は寝込んでしまった。

それを聞きつけた近所の若者たちが飴屋で女の来るのを待ち、あとをつけると、女は京の都の墓場といわれた鳥辺野へと入り、ふっと姿を消した。

その事を寺の和尚に聞かせると、10日程前に若い女を葬ったという。

そして、その墓を確かめに行くと、若い女の死骸の上で水飴を嘗めながら泣いている赤ん坊がいた。

この赤ん坊は女が死んだあとに生まれたため、女は赤ん坊のために夜毎水飴を買いに出掛けていたのだという。

その後、赤ん坊は和尚に預けられ高僧になったといい、飴屋は「幽霊飴」と呼ばれ大繁盛したのだとか。



「幽霊子育飴」を売る「みなとや」さん。



六道の辻は、平安京三大葬送地の一つ鳥辺野の入口。




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