しかし、頼朝のそばで静の舞を見ていた北条政子は、自分の頼朝に対する情愛を述べ、今の静の気持ちを説いたといいます。
『吾妻鏡』によれば・・・
「あなたが流人として伊豆の国にいたとき、あなたは私を愛してくれましたが、父の時政は平氏全盛の時期であることを恐れ、私を家に引き込めてしまいました。
しかし、あなたを慕う私は、闇の夜や激しい雨の中をはばからず、あなたの所へ通いました。
石橋山の戦いのときには、私はひとりで伊豆山にいて、あなたの生死もわからなくなり、日夜心配で生きた心地もしませんでした」
と振り返えり、
「そのときの私の気持ちと今の静の気持ちは同じです。
義経との愛情を忘れて、今ここで義経を恋い慕わないようであるなら、静は貞女とはいえません」
と続けたといいます。
頼朝・政子の腰掛石
(伊豆山神社)