1008年(寛弘5年)10月16日、一条天皇は生まれたばかりの敦成親王と対面するため土御門殿に行幸。
行幸近きころ、土御門殿は一条天皇を迎える準備が進められ、邸内は美しい菊で飾られます。
そして行幸の日。
藤原道長は新造の二艘の竜頭鷁首(りょうとうげきす)の舟を池辺に漕ぎ寄せて検分。
行幸は辰の時(午前八時頃)。
女房たちは早朝から化粧をして準備し、紫式部の親友・小少将の君が里から帰参。
紫式部は、辰の時とはいっても日中になってしまうだろうとのんびりしていたが、合図の鼓の音を聞いて急いで参上したらしい・・・
道長が敦成親王を抱いて一条天皇の御前へ。
一条天皇が敦成親王を抱き取るときに、少し泣いたのが可愛いらしかったのだとか。
日が暮れて、一条天皇の御前で管弦の御遊が始まります。
右大臣の藤原顕光が「若君の泣き声には万歳楽がよく合います」と申し上げると、
左衛門督の藤原公任などが「万歳、千秋」と声を合わせて朗詠。
道長は「これまでの行幸も名誉なことだったが、今日の行幸はめでたく素晴らしい行幸だった」
と感じ入って酔い泣きしたのだとか。
夜も更けると、一条天皇は還御しています。
※画像は越前市の紫きぶ七橋のレリーフ。
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水鳥を
水の上とや
よそに見む
われも浮きたる
世を過ぐしつつ
この歌は紫式部が詠んだ歌。
邸内の素晴らしい光景を目にしても心が晴れないでいた紫式部。
日ごろから出家を願っていたことから、物思いを深くしてしまっていたらしい。
📎水鳥を…一条天皇の土御門行幸が近くに詠んだ歌
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