五節の舞姫は、新嘗祭の豊明節会で舞を披露する少女(おとめ)。
『源氏物語』では「少女の巻」に五節の舞姫のことが描かれています。
紫式部の時代の五節の舞姫は、公卿2人(三位以上)、殿上人・受領2人(四位以下)から献上されていたようですが、配下の娘が選ばれていたようです。
ただ、『源氏物語』では少し違います。
光源氏は摂津守で左京大夫を兼任している藤原惟光の娘を献上していますが、按察使大納言・左衛門督・近江守源良清は娘を献上しています。
その理由は、豊明節会の後、女官に採用されることになっていたから。
左衛門督は娘と偽って娘ではない者を献上して問題となったようですが・・・
五節の舞姫を献上する家は名誉なことではありましたが、大きな経済的負担を負い、数か月前から準備を進めていたようです。
光源氏は、付添いの女童たちの装束などを用意させ、二条院東院の花散里は宮中に舞姫が参る夜に付き添う女房たちの装束を作らせています。
秋好中宮からも女童や下仕え女房の装束などが献上されました。
光源氏に娘を差し出すよう言われた藤原惟光は迷惑していたようです。
光源氏からは「按察使大納言が妾腹(正妻ではない妻)の娘を舞姫に出すのだから恥ではない」
と言われて困ってしまいますが、女官になれるという保証があったので命に従うこととします。
そして、娘に自宅で舞の稽古などをさせて二条院へ送り出したようです。
(京都市平安京創生館)
豊楽殿は平安宮豊楽院の正殿。
豊明節会は豊楽院で行われました。
(大津市)
琵琶湖西岸の唐崎神社は祓の霊場として知られた社。
『源氏物語』~少女の巻~では、五節の舞姫だった近江守源良清は娘が祓を行っています。
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