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2020年9月12日土曜日

五大堂明王院の建設~二階堂→甘縄→大倉と変更された建設地~

 

明王院



『吾妻鏡』によると・・・

1231年(寛喜3年)10月6日、四代将軍九条頼経の御願寺を永福寺または大慈寺の敷地内に建立されることが決定されます。

同時に、永福寺の境内には頼経の正妻竹御所の御願寺を建立することとしています。

※竹御所の御願寺は父源頼家を供養するための御堂かと???
 

永福寺跡


大慈寺跡碑


10月16日には、永福寺本堂の池の北方に五大尊堂を建立することが決定され、建立日時も決定されています。

しかし、10月19日、建設地を甘縄に変更。

安達義景の南で、千葉時胤の北、西山の周辺とされました。 


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甘縄とは?

鎌倉歴史文化交流館


建設予定地となった甘縄は、長谷ではなく扇ヶ谷なのかと・・・

長谷の甘縄神明神社には安達邸跡碑が建てられているので、長谷と考えてしまうかと思いますが、甘縄は坂ノ下の御霊神社辺りから扇ヶ谷を含めた広範な地だったようです。

鎌倉歴史文化交流館は、安達義景邸跡ともいわれています。 


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~建設延期~

ところが・・・

10月25日の晩、大風が吹いて北条時房の公文所が焼亡。

東は勝長寿院橋辺りまで火が回り、西は永福寺の総門の内まで炎が飛び、源頼朝の法華堂北条義時の法華堂とその本尊も灰になってしまったのだそうです。

10月27日、頼朝と義時の法華堂が焼失してしまったことで、頼経竹御所の御願寺の新造は延期となってしまいます。


11月18日、頼経の祈願の五大明王像の造立が始められます。

この日、焼失した頼朝の法華堂の上棟式も行われています。


12月26日、五大明王の用材の穢れを除く加持式が行われます。

本尊の薬師如来・観音菩薩・不動明王が造立されています。

頼経は、来年15歳の厄年であることから、その祓いの経もあげられています。


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~建設地は大倉の地!~

1232年(寛喜4年)10月2日、頼経15歳の願として、大倉に寺を建立する日時が決定。
 
10月7日、竹御所の願による御堂地を大慈寺内に曳き始めます。
 
10月22日、来年建設予定の頼経の願による五大尊像を祀る御堂について、大倉の奥の土地が建設予定地と定められます(※建設が始まったのは3年後)。
 
11月3日、五大尊像を祀る御堂の土地に縄張りを曳き始めました。 
 
11月9日、竹御所の願による御堂への参拝路を造営するための土公祭が行われます。
 
11月18日、竹御所の御堂の立柱上棟式。


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~大倉とは何処か?~

大倉というと源頼朝大倉幕府跡周辺と思うかもしれませんが、当時は現在の十二所も大倉と呼ばれていたようです。

『吾妻鏡』には源実朝が建てた大慈寺が大倉郷に建てられたことが記されています。


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1234年(天福2年)7月27日、竹御所死去。


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~五大堂明王院完成~

1235年(文暦2年)1月15日、五大堂の門の木作り始め。
 
1月21日、五大堂の総門建立。

この日の記録では、前年に安達義景の甘縄の土地を建立地と定めたが叶わず、幕府鬼門の地で毛利季光(大江広元の子)の領地内を建立地に定めた事が記されています・・・。

※この辺が『吾妻鏡』の記録が統一されていないところで、前の記録では、甘縄と定めたのは4年前、大倉に定めたのは3年前。


2月3日、土公祭を開始。
 
土公祭は、土公神(どくじん)がいる場所の土を犯す時に陰陽師を招き、そのいかりを鎮めるための祭なのだそうです。 
 
2月4日、五大堂建設予定地内に、鎮守社の建設が決定。

2月10日、堂の建築開始。

3月5日、五大堂に鐘楼を建立。
 
3月18日、五大堂の開眼供養の日時を検討。

陰陽師らの占いによると4月11日が上吉、4月18日が下吉、5月5日が上吉だったのだとか。

いろいろ検討の結果、5月5日に決定。
 
3月25日、北条泰時邸で話し合いが行われ、開眼供養の日時を6月9日の最吉に変更。
 
鶴岡八幡宮端午の節句の神事と重なったためだったようです。
 
しかし、3月28日の話し合いでは・・・

6月9日と決めた開眼供養の日は、頼経が外出するのに良くない日だったのだとか・・・

そのため6月29日としたようです。
 
6月19日、洪鐘の鋳造に失敗。
 
6月29日、鶴岡八幡宮の定豪が新御堂の平穏の祈祷を行います。

午前8時頃には、鋳直した洪鐘が吊るされ、堂に五大明王像が安置されました(不動明王・降三世明王・軍茶利明王・大威徳明王・金剛夜叉明王)。 

そして、午前9時半頃から開眼供養が行われています。


明王院







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三代執権北条泰時


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