荏柄天神社の「かっぱ筆塚」は、漫画家の清水崑が鎌倉の古道具屋で購入して愛用していた絵筆を納めたもので、1971年(昭和46年)に建てられました。
除幕式には、作家の小林秀雄・永井龍男、漫画家の横山隆一・那須良輔・小島功など80名が参列したのだそうです。
筆を担いだ河童の絵が彫られています。
清水崑の河童は、黄桜酒造のキャラクターとして採用されました。
裏側に彫られている「かっぱ筆塚」の文字は、作家川端康成の揮毫。
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~清水崑のかっぱが名の由来~
かっぱを描き続けた清水崑。
1953年(昭和28年)から「かっぱ天国」が週刊朝日に連載されると、1955年(昭和30年)には、黄桜酒造のキャラクターとして採用されます。
同年、カルビーでは、清水崑がキャラクターを描いた「かっぱあられ」を発売。
1964年(昭和39年)には、「かっぱえびせん」が販売されますが、その名は「かっぱあられ」に由来しています。
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~「かっぱ筆塚」の祭~
「かっぱ筆塚」が建立されると、絵筆の祭りが行われるようになりますが、1974年(昭和49年)に清水崑が他界すると、その祭りも途絶えがちになっていったそうです。
鎌倉に居を構えていた横山隆一は、清水崑の遺志を汲み、新たに筆塚を建てて、絵筆の祭りを鎌倉の年中行事としようと計画します。
これに牧野圭一や加藤芳郎などが賛同。
日本漫画家協会に所属する漫画家たちが、それぞれのキャラクターを河童で表現したレリーフが作成されます。
そして、1989年(平成元年)、かっぱ筆塚の後方に、横山隆一がデザインしたブロンズ製の絵筆塚が建立され、漫画家たちが描いたレリーフが飾られました。
絵筆塚は、鉛筆をかたどったもので、高さ3メートル、直径1メートル。
10月22日、清水崑夫人、横山隆一、小島功をはじめとする関係者200名近くが参列して除幕式が行われました。
塚の基部には、当時の宮司白井永二、横山隆一、牧野圭一によって5枚の絵皿が納められています。
絵筆塚の建立以来、毎年10月に行われているのが絵筆塚祭。
絵筆塚祭には、漫画家により寄せられた漫画絵の行灯が掲揚されます。
カッパ絵コンクールも開催され、子どもから大人まで、自分なりのカッパを描いた作品が拝殿に展示されます。
2021年の絵筆塚祭は10月9日(土)・10日(日)。
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